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ギデンズ『国民国家と暴力』

『国民国家と暴力』(A・ギデンズ)
報告:五十嵐

○ギデンズの本書での主張
機‥租的国家(階級分断社会)は、本質的に分節化された社会である。政治中枢が管理できる範囲は限られていたため、政治装置の構成員は、近現代的意味での「統治」をおこなっていなかった。伝統的国家に辺境地帯は存在したが、国境線は、存在しなかった。
a 前提
・「社会」=国民国家
・社会システム=《支配》の様式の具体化(制度として表出)
→社会認識にたいする複合した認識に照らして(理路整然と理解)、再帰的モニタリング、その過程で因習を下支え、または再生産
 →再生産に関与する「2つの資源」(配分的資源と授権的資源):これがある種の「場面」に集中して「権力の容器」となる
・近現代史の非連続的解釈
b 統治
・伝統的国家=都市と農村の交錯による授権的資源と配分的資源の生成に依拠
→しかし「2つの資源」はそれほど集中していない(p.69)
・軍事力もそれほど中央集権されていない(工業化の限界p.72)
・「逸脱」(監視)も行政の中心に限定される
・伝統的国家=階級分断社会(cf. 表2(p.81))
・イデオロギーによる管理も限定(p.95)
・非近代の社会間システム(p.98)

供\簑仄腟噌餡箸涼罎法△修慮紊旅駝厩餡箸糧達の前兆となった、伝統的国家形態から離脱を見出すことができる。非人格の管理的権力という考え方と結びついた主権の概念は、関連する一連の政治的理念とともに絶対主義以降の近現代国家のかなり重要な構成要素となっている。
a 社会間システムの変化
・境界線の変更:新たな類型の国家システム(再帰的モニタリングシステム)(p.104)
・海上での権勢の拡大→地球規模の商業資本主義と工業資本主義の拡大(p.112)
b 組織内の変化(とはいえ伝統的社会と分類される)
・管理的中央集権化(官僚的支配の強化)、新たな法のメカニズムの発達(機械的適用、私有財産、国家による制裁の専有)、財政管理様式の変化(税の取立て)
・軍事上の発達(p.126):管理的権力の飛躍的拡大(p.134)
・ナショナリズムは未発達(p.141)
察〇駛楴腟舛良甬擲搬腓蓮⊇熟酸さ以降の全く新しい世界システムを基盤強化するうえで、根本的に重要であった。資本主義と工業主義はともに国民国家の出現に決定的影響を及ぼしたが、国民国家システムを、資本主義と工業主義の存在という面だけで過度に単純化して説明することはできない。近現代の世界は、資本主義と工業主義、それに国民国家システムの交錯を通じて構成されてきた。
a 資本主義、工業主義について
・資本主義の定義(p.158)、資本主義社会の特徴(p.160)、工業主義の定義(p.164)
・資本主義と工業主義の「選択的親和性」=労働力の商品化(p.170)、職場における管理的権力(p.170)
・資本主義と工業主義と国民国家の結合:4つの制度群(p.172)→「近現代の世界」
b 国民国家へ
・法による中央集権化→私有財産の権利、貨幣経済の成立→賃金労働の商品化→工業資本主義の出現(監視、暴力の集中)→国民国家
c 世界システム
・世界経済→「世界システム」の一側面(ウォーラーステインの議論から)(p.198)
・世界システムの特性描写(p.316)

掘々駝厩餡箸糧達は、伝統的国家の基本をなす、都市と農村の関係の消滅を想定しており、(国境線と密接に関連する)集約度の高い行政的秩序の出現を必然的にともなった。
・管理的権力機電信による情報コミュニケーションと輸送コミュニケーションの分離
→国民国家の基盤強化(p.206):情報の収集・保管・統制による国家権力の生成
・管理的権力供У律的権力との結合(様々な監視)(p.213)
→国内の平定(不従順者への締め付け):暴力の段階的減少(「新たな論理の出現」p.218)、労働契約から潜在的暴力が一掃された(p.220)、軍隊の直接関与の停止(p.221)

此々駝厩餡箸蓮伝統的国家に比べ、国内をほとんど平定している。したがって、暴力手段の独占は、通常、法的支配を行う人々が自分たちの「統治権」を維持する際の間接的資源にしかならない。近現代の国家に見出す軍事政府は、この点で伝統的な支配様式と全く異なる。この意味で、十九世紀の社会理論で行われた軍事社会と資本主義的工業社会の対比は、妥当である。
・領域化を伴ったアーバニズム、その一形態である隔離
 →実存的矛盾が拭い去られ、構造的矛盾へ(日々の社会生活を型にはめ込む)(p.226)

検々駝厩餡箸蓮◆ΑΑλ寨菘にポリアーキーである。国民国家の示すポリアーキー的特質は、行政管理の(監視活動の拡大を介して達成される)中央集権化と、さらにこの行政管理の中央集権過程がもたらす、支配の弁証法の変質に由来している。
・ポリアーキーの定義(p.229)
・「シティズンシップの権利」のうちのポリアーキーと密接に結びついた権利(p.230)
・権力のデフレ(信頼の衰退):3つの権利をめぐる衝突(p.237)
 →階級対立が権利拡大の媒介(p.240)
・主権(市民以外の排除)←ナショナリズム→シティズンシップ(権利の促進)(p.250)

次\鐐茲旅業化は、国民国家の出現に付随して生じ、また国民国家システムという布置連関を形成した最重要な過程である。戦争の工業化は、「第一」世界、「第二」世界、「第三」世界の間の境界を実質的に横断する、世界の軍事秩序の創出につながっていった。
a 2つの大戦
・第一次大戦:戦争の工業化
→国家主権のシティズンシップとナショナリズムとの結合:階級闘争の制度化
→戦争経済(大量生産)への展開(p.272)
・第二次大戦
 →軍事秩序の形成、監視様式の拡大、社会改革計画(~p.278)
b 今日の軍事秩序
・軍産複合体が経済を制しているのではない(経済的結びつきの依存により黙従)(p.284)
・「私たちは工業化された戦争遂行手段の地球規模での拡散という…意味合いで、今日、「軍事社会」に暮らしている」←(地球規模での)国民国家システムと工業主義の一体化(p.290)

后々駝厩餡箸蓮他の国民国家との体系だった結びつきのなかでのみ存立できる。国民国家は、その当初から国内行政の整合性を、もともと国際性を帯びる再帰的にモニターされた諸条件に依拠している。「国際関係」は国民国家と同時期に出現した。
宗々餠線を超えて広がる地球規模の結びつきが、二〇世紀に入って数多く絶えず発達していることを、国家主権の本来的な縮小傾向とみなすべきではない。むしろ反対に、こうした展開は、今日国民国家システムが世界中に拡大する上で、事実上その最重要な条件となっている。
・「力の均衡」の登場(相互承認)(cf.兇a)
・国際連盟の登場(=世界中に広がった国家にシステムによる再帰的モニタリングの必要性の容認)(p.295)
・国民国家の諸類型

勝.皀瀬縫謄と密接に関係する4つの「制度群」、つまり、監視の増強、資本主義的企業経営形態、工業生産、それに暴力手段の中央集権的管理の強化、を見出すことができる。これらの制度群を、他のいずれの制度群に還元してとらえることは決してできない。それぞれの制度群がもたらす帰結に関心を寄せることは、もっぱら批判理論が将来の社会変容の唯一の目標として社会主義による資本主義の超克に関心を集中させてきた状態から、批判理論を引き離すことになる。
a 全体主義について
・全体主義の定義(p.345)、諸要素(p.347)、アレントとの違い:大衆の支持(p.348)
・全体主義←監視→ポリアーキー&シティズンシップ(p.353)
b 批判理論
・モダニティの「4つの制度群」(図6)―運動(7)―権利(8)―危機となる趨勢(9)
→「世界史的」意義を持つこの4つの制度群をもとに、「良き社会」のモデルを構築し、批判理論を立てるべき

感想
 国民国家への展開を他の伝統的国家から「断絶」させる上での多様な議論の広がりとその深さには感服するものがある。また、国民国家への展開に関して4つの制度群を設けて議論を展開したことで、多様な国民国家の諸類型を説明可能にしたという点において、非常に重要な功績を残したといえよう。また、その制度群から批判理論を立てるという帰結にまで導いたことは、本書を非常に力強いものにしている。
 しかし気になることは、ここでもっぱら中心に議論されているのはヨーロッパの国民国家であった(著者によれば)ために、この枠組みが例えばアフリカの国家に適用できるか、より詳細な検討が必要のように思う。ギデンズは「ヨーロッパの」、と断っておきながらも、最終的には第三世界の国家にまでその適用可能性を広げている。

 破綻国家においては、戦争は果たして工業化されたといえるのであろうか。確かに戦争は武装集団にある程度の組織化を命じているが、しかし、グローバリゼーションの中でウェブ化した武装集団の劇的な増加は、かつてヨーロッパが経験したような国民国家という単位とは別の世界を築いている。
 ギデンズの『暴走する世界』の中ではグローバリゼーションが主題となっているが、グローバリゼーションと組み合わさった紛争における国民国家の破綻の問題には、詳細な考察はない。われわれは再度、「断絶」を経験しようとしているのであろうか。

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